大和ハウス工業株式会社 吉野 健三

学生時代は、心理学の実験に力を入れていました。まず100人規模でアンケート調査を行い、その中から数名に来てもらって実験をします。最初のうちは、準備や手順が大変で、正直、面倒に感じることもありました。しかし、その面白さに気づくにつれ、より多くの回答を集め、正確な結果を出したいと思うようになりました。
どうすれば多くの回答を集められるかを考え、試行錯誤した結果、参加者が増え、より多くのデータを集めることができました。
実験と考察を繰り返す中で、物事を逆算して考える力が自然と身につきました。なんとなく始めるのではなく、まず目標を設定し、必要な要素を洗い出し、最短でゴールに到達するためのアプローチを考える習慣がつきました。
現在は、お客さまから発注をいただく建設会社の立場として、物件管理やリフォームを担当するグループ会社との調整を行っていますが、この業務においても逆算思考は大いに役に立っています。学生時代にこの考え方を身につけることができたのは、自分にとって大きな財産になったと感じています。

私がこれまで手がけた仕事の中で一番思い入れがあるのは、ZEH-Mの普及です。SDGsの推進などを受け、会社全体で導入を進める方針が決まりましたが、私が担当し始めた2021年頃は、まだごくわずかしか普及していませんでした。
営業経験を活かし、どうすれば現場に取り入れてもらえるかを考え、勉強会を開くなどしてZEH-Mを広める仕組みを整えました。その結果、当初の目標では2026年度までに集合住宅の50%をZEH-Mにする予定でしたが、2024年度の上半期には70%を達成し、大幅に上回ることができました。
私がこの仕事を続けられているのは、「誰かの役に立っている」と実感できるからです。自分の存在が会社や部署、お客さまにとってプラスになっていると感じられなければ、仕事はただの義務になり、続けることが苦しくなってしまうと思います。ぜひ「自分のおかげで誰かが助かっている」と思えるような場所を見つけてほしいです。
ただ、仕事はあくまで人生の一部にすぎません。もちろん真剣に向き合うことは大切ですが、過度に思い悩む必要はないと考えています。だからこそ、学生のみなさんには「焦りすぎないこと」を大切にしてほしいです。実際に働いてみて初めて気づく仕事の面白さもきっとあるはずです。